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TAI PAN History
歴史の中に大班の足跡を訪ねて

「大班(TAIPAN)」という言葉は広東語の「代辦(代行すること)」が語源で、かつての広東人は外国船の船長や英国東インド会社広東商館の責任者をこう呼んでいました。大英辞典の解説では、大班とはビジネスの中で巨大な権力と影響力を備える者、または世界規模の企業におけるアジア地区の責任者を指すとあります。

ところで、この大班ですが、歴史上でも実在する人物がいて、たいへん興味深い活躍をしています。大班の歴史は中国国際貿易発展の歴史といってもよいほどです。彼らは過酷なビジネス戦争を戦い、勇敢にチャンスを求め、中国やアジアの門戸を開きました。そして、その鋭い洞察力と独創性あふれる経営手腕が今日でも世界各地の実業家の模範とされています。

背景紹介

西暦1757年西洋列強の強力な圧力のもと、清朝政府は広州を対外貿易の窓口として開放しました。そのとき、商業権の開放度合いを掌握するため、13の商家を外国と貿易のできる企業と定めました。こうしてイギリスから中国へはラシャや綿が、そして中国からイギリスへはお茶や生糸、薬などが輸出されました。「十三行」という言葉が中国対外貿易のはじまりを指す由来もここからきています。

冒頭にも述べたように、当時の広東人は中国にやって来たイギリス商人のことを大班(TAIPAN)と呼びましたが、1842年、中国の対外貿易窓口が広州のほかにアモイ、上海など5港に増えると、これら港町で働く人たちも西洋人マネージャーのことを大班と呼ぶようになりました。そして、この時期に大班という言葉の最初の定義が出来上がったのです。

大班とはだれのこと?

歴史上記載の残る最初の大班は二人のスコットランド商人、ウィリアム・ジャルディンとジェームズ・マセソンです。彼らは1832年、はるばる海を越えて広州にたどり着くと「ノベルハウス(別名ジャルディン マセソン)」という貿易会社を設立し、中国とイギリスの間で貿易をはじめました。この会社は1842年に「怡和洋行」と社名を変更、今日にいたっても高い信頼と評価を得る貿易会社として知られています。そして、二人の創始者はもっとも有名な大班となっています。

もう一人、歴史に名を残す大班がいます。それは1845年、アモイに「徳記洋行」を設立したイギリス人、ジェームズ・タイトです。彼は「怡和洋行」よりさらに現代的なビジネスを行いました。というのは、1867年、事業を台湾にまで拡大し、台南に支店を設立。さらに、日本の雑誌に広告を掲載して台湾のお茶を日本に売り込むという多国間貿易をはじめたのです。

1865年、野心に満ちあふれた商人トーマス・サッチャーランドによって貿易の規模はさらに拡大します。彼は香港上海銀行(HSBC匯豊銀行の前身)を設立すると、広州、上海、香港に相次いで営業拠点を設置して貿易会社の財産管理業務を担うようになります。これによって外国からの中国投資に一段と拍車がかかりました。このとき大班という言葉は銀行家を指す代名詞にまで広がります。

同じく1865年には台湾にも第一号の大班が現れます。彼の名はジョン・ドッド。「台湾のお茶の父」といわれる李春生の協力を得て台湾北部の文山堡から海山堡(今日の板橋と土城)一帯に畑をつくり、翌年中国安渓からお茶の苗を運ぶと、現地の農民にこれらを貸し付けて製茶をはじめました。ジョン・ドットは農民の作ったお茶を買い上げ、それをマカオで売りはじめました。すると、商売は大繁盛。その後、台北の艋胛街(現在の萬華)に茶館を開業し、さらには台湾烏龍茶の海外輸出を展開していきます。

こうした一連の試みが成功を修めたあと、ジョン・ドットは1869年、大稲埕(現在の迪化街)に「保順洋行」を設立しました。この会社は一度に21万斤の烏龍茶を淡水港からニューヨークに輸出するなど発展を遂げました。それは台湾にとってはじめての貿易と呼べるもので、大班という言葉は成功を修めた実業家を表すのに使われるようになりました。

西洋社会から見た「大班」の認知度

西洋人にとって東洋の神秘に対する好奇心は今も昔も根強いものがあります。作家ジェームズ・クレーベルもそんな好奇心を抱いたひとりでした。彼は1966年、「TAIPAN」という題名の小説を執筆。アメリカのネットショップ・アマゾンの売り上げだけで190万部に達するベストセラーとなりました。物語の内容は「怡和洋行」の創始者、ウィリアム・ジャルディンとジェームズ・マセソンをモデルに、野心あふれる当時の英国商人が遠く海を渡って中国で事業を展開していくというものです。その中には商売での騙し合いあり、当時の植民地の状況あり、文化や生活のちがいあり、これらが臨場感あふれるタッチで描写され、中国という社会を垣間見たい西洋人から高い評価を得ました。ジェームズ・クレーベルは1981年にも似たような題材で「Novel House」を執筆し、やはりアマゾンで140万部の売り上げを記録しています。

このほか大班を題材にした作品には、ブルヤン・ブラウンと中国の有名俳優陳沖が共同制作した映画「TAIPAN(1986年)」や007のピエルス・ブロスナンが出演したテレビドラマ「Novel House(1988年)」があります。内容はどちらもジェームズ・クレーベルの小説を基にしたものですが、ともに危険に立ち向かっていくチャレンジ精神と厳しい商売環境でもあきらめない不屈の精神によって最後は成功を修める大班の姿が迫真の演技で表現されています。

西洋人の中で大班という言葉には巨大な権力と影響力を備えた実業家、世界規模の企業がアジアに送り込んだトップビジネスマンといったイメージがあります。それは今日にいたっても変わることなく、ビジネス界をリードする実業家やCEOの代名詞となっています 大班概要へ戻る
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